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マルメロ讃歌 [珈琲]

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 この奇々怪々な果実をご存知だろうか? 宇宙を漂う小惑星の姿の如くで不気味でもあり、そのでこぼこした質感は悔しい時に握りしめた拳のようにも思える。しかしその淡い色の肌からは、えも言われぬ芳香を放ち黄色い光線となって幻想的な存在感を示した。優等生のリンゴや梨を横目で通り過ぎ、決して時代には流されずに頑に己のスピリットを貫き、あわよくばその自己の存在をも消してみせようとしている気配すら感じる。まるで哲学者のような彼が詩人達に愛されたのも分かる気がするのだ。「彼」って書いたけど、どうも女性的なイメージでもなく中性的でもないのは、その「芳香」に誠実さをつくした部分によるところが大きい。その香りはあらゆる物質を美化する能力を兼ね備えている気がして艶めかしい、男性的だけど。

例えば、この果実「マルメロ」に僕がご機嫌を伺う言葉を投げかけたとしてみよう。
ガロート「最近どうなん?」 
マルメロ「未だ持ってイカサマを修行中の身なのです・・。」
ガロート「それは言い過ぎやな。でも香りはミューズ級よ。イカサマって・・、ご謙遜ね。」
マルメロ「いやいや、イカサマみたいなものですよ。私なんざ由緒正しい劣等生ですから、生き残りに大変なのです。と言うか、生き残るフリをするのに大変でして。本当はお星様になりたいのです。」
ガロート「ひねくれとんな。そやけど、そういうとこ好きかも・・。」
マルメロ「僕の匂のそらに、あたらしい青雲を燃やせ・・。重力は互いに打ち消された冷たい僕の匂ひが浮動するばかりだ。」
ガロート「あ、宮沢賢治。君って感覚で記憶されるよね。味覚的にではなく。」
マルメロ「ガードが固いってよく言われるのです、私扱い難くって、昔からなのです・・。」
ガロート「何かお手伝いしましょか?」
マルメロ「私を炊いていただけます? でも基本、眺めてくだされば風が香りをお運びするかも・・」

写真右はマルメロジャムである。先日、大量にこしらえてみた。
まずガードが固いと言うか、その表面は軽く武装しているといっても良い。それだけならまだしも白い実の部分もかなり強情である。中央を貫く芯の強さは言うに及ばずで、ブレは無い。それにポリフェノールの酸化の度合いにスピードを感じ、情け容赦なく変色が早い。何かしら完全に人的な介入を拒んでいるかの如くで、ジャムを作ろうとする行為が傲慢にも思えてくる。生食には向かないと言われているが、当然食べてみる。酸っぱくて苦みもあって食べれない事はないけれど美味しくは無い。糖分を重量の45%に設定して炊いてみた。至福の香りが充満する中、その実は時間に比例して赤く変化していき正体を表してくる。苦みは消え、程よい気品のある酸味が口の中に広がるのであるけれど、この時点では最早「ミューズ」と表現してもおかしく無い程に女性的な優しさに溢れている。

大手スーパーに並ぶ優等生の果実達は、最早都合良く改良された都会型果実のような気がするのだけれど、それを拒否し、遥か昔からの自然との戯れを好み、純潔と攻撃性を死守しているのがマルメロだと思う。今宵はマルメロを握りながら眠りにつきたいような・・。


ガロート珈琲は本日16日が定休日です。
今週末に作る予定のチーズケーキにはマルメロ君のソースを垂らしてみようと思ってます。
興味のある方はどうぞ!

  
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